Bookwormy’s Diary

英語の本も面白いかも :)

Project 1065

Project 1065  by Alan Gratz

 

 

Projekt 1065 (English Edition)

Projekt 1065 (English Edition)

 

 

 

 

主人公のマイケルはアイルランド人ながら第二次大戦中のドイツに両親とともに住んでいます。スイスと同様に中立国だったアイルランドは大使をドイツにも駐在させており、マイケルの父親がアイルランド大使だったのです。でもそれは表向きの顔。実は両親ともに連合国側のスパイでした。

 

ヒトラーが、ドイツが、どのようにヒトラーに追従するグループを作り上げ、納得していない国民を逆らえないまま言いなりにさせて行ったかを追体験できます。自分がこの場にいたらこれは逃げられないだろうな、と思ってしまう怖さを実感。ヒトラーの実際の演説からの言葉など多くの事実を盛り込んだフィクションになっています。

 

両親がスパイだったと告白されてからのマイケルは自分の良心に反して良きヒトラーユースの仮面をかぶり、天才的な記憶力を駆使して機密情報を集めに奔走します。このヒトラーユースの描写が実際こうだったのか、フィクションがかなり混じっているのか知りたいところです。読みながら「蝿の王」を思い出しました。

 

「多くの人を助けるためには、少数を犠牲にするのか?」このテーマが繰り返し出てきます。

 

子供にそんな選択を迫るなんて、と思う反面、世界を見ても歴史を見ても子供達が大人の戦いに巻き込まれている状況は珍しくありません。為政者の判断によって世界はこれだけ変わるのだと言うことも知っておくべきですよね。やはり子供達にも読んで欲しい本だと思います。

 

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ふむふむ用に借りた本の中から面白そうなものを見繕って読んでいたら第二次大戦の話が続いています。ふむふむも戦争ものを読む年代になってきたと言うことですね。

 

この本も子供向けで対象年齢は9歳から12歳とかになってるのだけれど、感受性の高い子だったら夢を見そうな内容。12歳以上、15歳以上でもいいかなぁって個人的には思います。怖かったもの~

 

Lexile Measure 780L

 

英語レベル的には読みやすいです。

 

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ネタバレ

 

まるでスパイ映画のシナリオを読んでいるようなハラハラドキドキが満載されています。個人的にはフリッツは実は何か事情があって熱狂的なヒトラーユースを演じているのではとずっと疑っていたのだけど、そのまますんなり本当に熱狂的だったんだと、ちょっと肩透かし。でもフリッツはヒトラーヒトラーになっていく野望を抱く過程を表しているのかも。小さくていつもいじめられて仲間外れにされていた若者が周りを見返すために野心を抱く、あるかも。

 

ジェット機のデザインに関与していたと思われるフリッツのお父さん(?)が一度も登場しなかったり、フリッツの不思議な妹はなんだっのとか、ちょっと気になるんですけどね。

 

ヒトラーユースの10歳そこそこの子供達がジェット機の設計図に近づけたり、マンハッタンプロジェクトのことを聞いたりというのは、実際にはまずなかっただろうなぁと思うもののフィクションとしては面白く読めました。

 

む〜す自身は良きにつけ悪しきにつけ熱狂的になりにくい性格なので、ヒトラーのため、ドイツのため、だったり科学者を救うためにフリッツやマイケルが全てを投げ出して手段を選ばず目標追行に邁進する様子に途中で引いてしまって、そこまでやるかなぁと思ってしまいました。心情的にはBook Thief の方が寄り添って読めたかな。それでもそんな私を最後まで一気に読ませてくれる勢いはあったので、やっぱりおすすめです。