Bomb 原子爆弾開発競争
Bomb : The Race to Build - and steal- the World's Most Dangerous Weapon by Steve Sheinkin
Bomb: The Race to Build - and Steal - the World's Most Dangerous Weapon
- 作者:Sheinkin, Steve
- 発売日: 2018/01/09
- メディア: ペーパーバック
第二次大戦中、ヒトラーに対抗するために原子爆弾をドイツよりも先に成功させたいアメリカはアメリカはもちろん、同盟国(?)のトップの科学者たちを集めて秘密裏に原子爆弾の開発を急ぐ。そこにソ連とのスパイ合戦が加わってドキドキハラハラ、小説さながらの、でもきっちりと史実に基づいた原子爆弾開発競争のお話です。
結末を誰もが知っている史実をこれだけエキサイティングに書けるのかと心底感心します。結果、原爆が日本に落とされるのがわかっているのに、ストーリーの途中までついついマンハッタンプロジェクトの科学者たちを応援してしまっている自分に気がついて・・・
そうなんです。科学者たちもそんな感じで巻き込まれていったのではないかと思います。科学を追求したい科学者たち、自分の国を守りたい科学者たち、そして先端の科学を使って事を有利に進めたい政治家たち。科学者も科学の方向だけを見ているとこういう結果になり得るんだと言うことも教えてくれてる読み物です。昔から戦争によって科学は飛躍的な進歩を遂げたと言われているけれども、その価値はあったと言えるのか。その進歩の先には何が待っているのか。
スパイになる人たちのメンタリティーも様々で、興味深いです。中でもアメリカだけが原子爆弾を持つよりも、もう一つの勢力、ソ連も原子爆弾を作って均衡を保つべきだと考えて情報を流すスパイたち。実際に自分の行動が世界の将来を大きく変えるどういう感じなんだろう。小心者の私には及びもつかないです。
広島の後、たった3日後に長崎に原爆が落とされた経緯、オッペンハイマーとトルーマンの関係、戦後、さらなる破壊力を求めて水爆を推進したいアメリカ政府とそれに反対のオッペンハイマーの扱い、スパイに対するイギリスとアメリカの扱いの差、どれもこれも興味深いです。
National Book Award Finalist
Newberry Honor
251ページ
Lexile measure 920L